「こんにちは。」
目の前に、あの「誰か」が立っていた。でも、シルクハットは被っておらず、普通の装いだった。
「あなた、駅で…。それにしても、どこから現れたんですか!?」
呆然としながら、私はどこか落ち着いていた。
「突然、失礼。私は…愁(しゅう)と申します。大変差し出がましいのですが、私の国へお越しいただけないでしょうか。」
「私に、一体何の用があるっていうんですか。」
「それは後程。私は、あなたのお父様にお会いしたことがあります。」
「私の父に?」
お父さんの事を話に出しているということは、私の事情も知っている…?
「あなたの『悩み』も解決できるやもしれません。」
お父さんのあの言葉の意味が、分かるかもしれない…?たとえ、危うい道でも、お父さんのあの言葉の意味がわかるのなら…
「わかりました。行きます。」
「感謝申し上げます。では、こちらへ。」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。