泣きやんだ時には、あの巨大な時計の前に私はいた。
「落ち着いたかい?」
真っ赤に目を腫らしながら私はこくりと頷いた。
「なんで、なんで女王はお父さんを、牢獄に閉じ込めたの。」
「…今の女王の父親、つまり、前の王が死んだ時、王座は今の女王へと移った。女王は目立ちたがり屋でなんでも自分が一番でなければ許さなくて、いつも横柄な態度をとっていた。気に食わない者は牢獄に入れたり、罰を与えたり、酷い時には、首をはねた…」
「君のお父さんがここに来て、皆の注目を集めていることに、女王は腹を立てて、君のお父さんを城に呼び出した。その時、金輪際この国に来ないなら許すと女王は言ったんだが、君のお父さんは、決して受け入れなかった。そのせいで、女王は怒り狂って、君のお父さんを牢獄に閉じ込めたんだ。しかも、食べ物もなにも与えず…」
「酷い…」
「頼む、この国を、なんとかしてくれ。」
あの女王を倒せば、お父さんの仇が打てる…?
「でも、どうすれば…」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。