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第1話

#1 優しいキミと
1,271
2018/01/06 13:34
あなた

ただいまー

おかえり。ご飯できてるよ


家に帰ると、いつもと変わらない彼の声が部屋の奥から聞こえる。

ダイニングから顔を出した恋人は、私の顔を見てもう一度 おかえりと言った。

あなた

今日は何作ったの?



コートについた雪を手で払いながら、ブーツを脱いで暖かい部屋へ向かう。

ハンバーグとポテトサラダにしたよ
あなた

…いつもごめんね

全然いいよ
あなたは仕事頑張ってるんだから

“ありがとう”よりも“ごめんね”を言うことの方が増えてきた 今日この頃。

優しいだけじゃ物足りない、なんて。
きっと私は欲深い女なのだろう。

ほら、冷めないうちに早く食べよう
あなた

うん


高校時代から付き合っているせいか、彼はもう私の人生の一部になり始めている。

そんな中、私には一つだけ 大きな悩みがあった。



それは “今まで一度も キスより先に 進んだことがない” ということ。


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