彼の顔を見て驚いた。
そこにいたのが、“普段の”彼だったからだ。
嬉しさのあまりつい抱きついてしまったが、ふと自分のとった行動に恥ずかしさを覚える。
…目の前の男が五年後の彼ではないので余計に。
頬を赤く染めた二人を沈黙が包み込む。
どこかよそよそしく思えてしまうのは、五年後の彼を知ってしまったからなのだろうか。
素直に伝えなきゃ、そう思ったのは 五年後の彼に“付き合ったことを後悔してるか”と尋ねられたからだ。
不安だったのは 私だけじゃない。
触れてほしい、なんて。
そんなふうに思えるのは“今”の彼だけ。
きっと、後にも先にも…キミだけ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。