あれから一年が経った頃。
この一年で 俺達の関係は大きく変わった。
足繁く 彼女のいる花壇に通っていたおかげで、俺だけに見せてくれる顔は増えていき、念願の笑顔を目をすることも出来た。
最近では 二人で帰路を共にすることもある。
告白をしたのは、そんな ある日の帰り道でのことだ。
その日はすっかり日も暮れていて、二人を照らすのは街灯の明かりだけだった。
彼女は小さな声でそう言い、俺の数歩後ろで立ち止まる。
暖色の街灯の明かりに照らされたあなたの顔を目にした時、ようやく その返事の意味が分かった。
耳まで赤く染めた彼女の手を握ったのは、この時が初めてだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。