今何時だろう…
ずっと寝ていたからか、さっきまでの怠さはもう無い。
夕暮れ時。
夕陽が窓から入ってくる。
──今日って雲一つ無かったんだな…
とっさにラインを見た。
1件だけきていた。
太陽からだ。
嘘に決まってる。
「(星、見に行きたいなあ…)」
唐突にそう思った。
特に理由は無かった。
待ってるね
それだけ送ってスマホの電源を切った。
リビングへ行き母の夕飯の手伝いをした。
23:00
日向山のフェンスに背中を預け空を見た。
─寒い。
太陽は絶対に来ない。
そう分かっていても、ずっと待っていたかった。
あぁ、寒い。
下はジャージ、上はパーカー1枚ともっと着込んでくればよかったと後悔している。
…眠い…寒い。
ん?足音??ダメだ。
顔を上げるだけでさえ冷たい風が覆ってくる。
太陽は毛布を持ってきていた。
“さっさとかぶれ”
と毛布を投げつけてきた。
その夜は久しぶりに太陽の星の話が聞けた。
私は途中で睡魔に襲われ、太陽の方を借り毛布にて
寝てしまった。
家まで運んでくれたらしい。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。