第5話

毛布に包まる2人
154
2018/01/06 04:02
今何時だろう…
ずっと寝ていたからか、さっきまでの怠さはもう無い。

夕暮れ時。
夕陽が窓から入ってくる。

──今日って雲一つ無かったんだな…

とっさにラインを見た。
1件だけきていた。
太陽からだ。
太陽
太陽
別に。
気にしてない。
嘘に決まってる。

「(星、見に行きたいなあ…)」

唐突にそう思った。
特に理由は無かった。
Azumi*
Azumi*
今日の23:00、日向山に来て。
太陽
太陽
何で。
Azumi*
Azumi*
星を見に行くよ
太陽
太陽
一人で行けよ。
Azumi*
Azumi*
いいから。
太陽
太陽
無理。
さっさと寝てぇし。
Azumi*
Azumi*
待ってるね
待ってるね

それだけ送ってスマホの電源を切った。
リビングへ行き母の夕飯の手伝いをした。
Azumi*
Azumi*
今日、お父さん帰ってくるの?
亜澄の母
帰ってこないわよ。
Azumi*
Azumi*
大変じゃ無いの?
亜澄の母
大変よ。
でもね、亜澄が手伝ってくれるから
全然平気よ~
Azumi*
Azumi*
そういえば、お兄ちゃんに会ったよ。
亜澄の母
元気だった?
Azumi*
Azumi*
うん。
お兄ちゃんの結婚相手の人にも会った。
亜澄の母
エッ!?ホントに!?
どんな子なの!?
Azumi*
Azumi*
恋人だからって遠慮しないではっきりものを言える人。
お姉さんってかんじ。
亜澄の母
優しかった?
Azumi*
Azumi*
うん。
料理が上手でピアノも上手くて、ホントにすてきな人。
亜澄の母
そお~。
会ってみたいわねー
Azumi*
Azumi*
…そうだね


23:00
日向山のフェンスに背中を預け空を見た。

─寒い。

太陽は絶対に来ない。
そう分かっていても、ずっと待っていたかった。

あぁ、寒い。

下はジャージ、上はパーカー1枚ともっと着込んでくればよかったと後悔している。

…眠い…寒い。

ん?足音??ダメだ。
顔を上げるだけでさえ冷たい風が覆ってくる。
太陽
太陽
何してんだよ…。
スマホの電源切りやがって…
Azumi*
Azumi*
(ん?太陽?)
太陽
太陽
何そのアホ面
Azumi*
Azumi*
…!?アホ!?
太陽は毛布を持ってきていた。

“さっさとかぶれ”

と毛布を投げつけてきた。
太陽
太陽
なんだその服?
バカなの?
Azumi*
Azumi*
失礼な!?
…毛布ありがと。
太陽
太陽
は?何言ってんの?
Azumi*
Azumi*
え?
太陽
太陽
これは俺のために持ってきたんだ。
だから入れろ。
Azumi*
Azumi*
はぁ!?せ、せまいよ!///
太陽
太陽
暖かいからいいだろ。
Azumi*
Azumi*
まぁね…///
その夜は久しぶりに太陽の星の話が聞けた。
私は途中で睡魔に襲われ、太陽の方を借り毛布にて
寝てしまった。

家まで運んでくれたらしい。

プリ小説オーディオドラマ