『そうか?俺にはお前が化け物には見えないな』
『その鎖も振りほどけないお前は
俺にはただの鎖もどうにか出来ない弱い…
《普通の》少女に見えるぞ?』
《普通》と言われたのは初めてだった。
こんなに《普通》に接してくれる人なんて
初めてだった。
だから…
つい、強がってしまった
『その鎖は飾り。
飾りすらも解けない奴が何言ってんだか…
お前面白いな…』
だから…この人になら…
この人なら私に殺されないと思った。
信じてくれると思った。
『そこでお前に二つ提案があるんだが…』
『一つはそのまま鎖に繋がれて生きる』
『俺と一緒にここを…この国を飛び出す。』
私は戸惑った
だって私が居なくなったと知ったら
街はおろか国だって大騒ぎになる。
それに…私の手助けをしたらこの人は…
でも、私はおかしかった。
この人より自分を優先した…
『そう来なくては。』
そう言い、私の鎖を外してくれた。
そいえば…なにか、
夢を見ていたような気がした
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。