ある日、昼ごはんをいつものメンバーで食べてるとトモちゃんがそう聞いてきた。
「こんなもよこ」って何なの…?
わたしって一体どんなひとだったの?
いつもそんな疑問を抱くけど、何故か聞けない。
そう言って、二人に背を向け足早に去った。
二人が深刻な顔でそんな会話をしている一方、もよこは廊下を歩いていた。
航太君たちは多分、元のわたしに戻ってほしいのだろう。
頭を抱えていると、後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこには長い黒髪に長いまつげ、大きな瞳をもつ美女がいた。
美人の威圧を感じながらも答えた。
大きな目の中には怯えた表情のわたしがいる。
どんどん彼女の声が荒ぶっていく。
また正論なので、何も返せなかった。
下を向いていると、ぐいっと顔を上げられた。
威厳のある声にビクッとなる。
その時わたしとその美女の間にビュンッと何か飛んできた。
消しゴムがわたしたちの足下に落ちた。
トモちゃんがわたしたちの前に立っていた。
フンッと鼻をならして、タタッと去っていった。
わたしはあの人と仲良くなれるのだろうかー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!