第4話

汚れたノート
246
2017/12/28 04:55
翌日、私はまた神社へと来ていた。

ノートの事が気がかりで仕方が無かったのだ。
あなた

あった!

矢張り其れは、そこにあった。でも。
あなた

...?

汚い。昨日よりもずっと汚れていた。

黒ずんだ手で触ったみたいな、煤みたいな汚れが付いていて、私は其れを払う。
あなた

嫌だなぁ...

新しいノートを、買おうか。

そう悩みながらページを開いた私の心臓が、飛び跳ねる。



『戦争はまだ終わっていない。

お前は予言でもしているのか。

いや、ただ嘘を言って俺を困らせたいんだ。

俺の名は、拓。お前こそ誰だ。』



返事が、来ていた。

その失礼な物言いにも腹が立ったが、何よりこの“戦争はまだ終わっていない”という文章が気になった。

戦争はもう、とうに終わっている。

確かに今、世界は危ない状態だけど、まだ戦争には至っていない。
あなた

...拓

あなたは、一体何なの?

奇妙な違和感を覚えて、私はそのページの写真を撮る。
あなた

は、ぁ!?何これ!?

全身の毛が、逆立った。

証拠を残そうと、そう思っただけ。なのに。

これは一体どういうことなの?
あなた

何で映らないの...!?

私の、抗議の文章はしっかりくっきりと写真に残っている。

なのに。


拓と名乗る人物が書いた文章だけが、写真に残らない。
あなた

嫌...ッ!

思わず、ノートを投げ捨てて私はその場を逃げた。

ただ、ただ怖かった。

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