第7話

タイムスリップ
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2017/12/28 05:05
じとりとした、しつこい暑さが怠惰を誘う。

まだ、七月の終わりだと言うのに。
あなた

...返事が来るとは限らない

一人が寂しかったのだろうか。

私は一人でそう呟くと、鳥居を潜った。


神聖な空気は、獰猛な太陽の下でもちゃんと、顕在していた。
あなた

来ます、ように

この、もやもやとした気持ちのまま終わるのは嫌だ。

確かめたいんだ。


私はノートを置いた場所から数歩離れ、様子を伺った。


この目で、この耳で、確かめないと。
あなた

...あ...

信じられないこと、それでも、妙に納得してしまう事。


ノートが、消えた。
あなた

...行っちゃった

蚊取り線香の煙が、
白色からやがて透明になり、消えてしまうように。

溶けてしまうように。



私の仮説が、疼き出す。

胸がどきどきと音を立てる。


ノートは、実際に今此処に存在しない。
あなた

...タイムスリップ、なんて







_________馬鹿みたいだ。

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