『今まで、ありがとう。
感謝の気持ちで溢れている。
顔も声も知らないあなただけど、
優しさと強さと、
それで少し負けず嫌いな所は知ってる。
今までありがとう。幸せに。
俺は、広島にいるよ。
死ぬだろうけど、家族も友達も、大切だから。
離れられないよ。ごめん。
こんなことを言ったらあなたは呆れるだろうけど、好きだった。
本当に、ありがとう』
これは、きっと、昨年の私への返事。
何で1年も掛かったのかは判らない。でも。
彼はもう、いない。
命を大切に思えるようになった。
恋を知った。
誰かを、心から慈しむ気持ちを理解出来た。
君に、色んなものを貰った。
蝉が鳴いている。
蝉が泣いている。
太陽がぎらぎらと輝いている。
暑さが纏わりつく。
汗が滴る。
今日の日付は8月6日。
________空に、そっと、黙祷を。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!