第16話

《3回目》
130
2018/02/18 13:31
あなた

ヒロ、あのね、

ヒロ
うん。
あなた

ちょっと時間かかるかもしれないけど聞いてね。

ヒロ
わかった。
私は話し始めた。
待ち合わせに遅刻したこと。
そこにヒロがいなかったこと。
後悔したこと。
車に轢かれて、気づくとまたベットで寝ていたこと。
何度もヒロを助けようとしたこと。
ヒロを助けるために、別れたこと。
言葉は、止まることなく溢れてきた。
あなた

っていうことなんだけど…

ヒロ
それって、本当のことなのか?
あなた

うん。信じられないかもしれないけど、本当のことなの。

ヒロ
なんとなく…違和感があったんだ。
ヒロ
起きた時とか、あなたと待ち合わせする時とか…
ヒロ
デジャヴっていうのかな。なんか見たことあるなーって。
ヒロ
でも、きっと夢かなんかで似たようなの見たことあるだけだろって自分を納得させてた。
あなた

そう、だったんだね。

ヒロ
うん。だからなんかスッキリした!
ヒロ
あなたも、悩んでたんだよな。
あなた

うん…

ヒロは意外とあっさり受け入れてくれた。
ヒロにも、何か感じるところがあったのだろう。
ヒロ
じゃあさ、俺と、もう一回付き合ってくれる?
ヒロ
俺、もう死なないから。
絶対、絶対にあなたを守るからさ。
だから、お願い。あなたが好きなんだ。
あなた

う、うんっ…

涙が溢れた。
ヒロは、まだ私のことを好きでいてくれた。
そのことは、私の冷えた心を、一気に温めてくれた。

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