第21話

現実
95
2018/01/07 16:52
お母さん
………あなた!………あなた!
うっすらと目を開ける。
見えるのは、白い天井と、目に涙をためた母、そしてりかの顔。
起き上がろうとするが、体に力が入らず、指先しか動かなかった。
りか
あなたっ!
あなた

り…か…

声も出しづらかった。
お母さん
お医者さん!あなたが!目をさましました!
医師
なんだと!!!
大急ぎで医師があなたのもとに駆け寄る。
あなた

お、かあさ、ん…?

お母さん
そうよ!!そうよあなた!
医師
なんと言うことだ。これは奇跡だ。
あなた

お、母さん、わたし、なんで、ここ、に…?

私は状況が飲み込めず、母に聞いた。
お母さん
あんたはね、ヒロ君との待ち合わせの時に、ヒロ君と一緒に車に轢かれたのよ…
あなた

ひ、ヒロ、は…?

お母さん
ヒロ君は…残念だけど、死んでしまったわ。
あなた

え…

私の目からぼろぼろと涙がこぼれた。
あれだけタイムスリップをしてヒロを助けようとしたのに、助けられなかった。
結局できたのは、好き、と一言言っただけ。
りか
あなたっ!
ヒロ君は、あなたを守ってくれたんだよ!
そう言われたが、私は悔しくてしょうがなかった。
ヒロを助けたかった。

プリ小説オーディオドラマ