第2話

卒業式
73
2017/12/28 13:39

桜の花びらがひらひらと舞い落ちてくる。

今日は高校の卒業式。

いろんなところからずっずっと鼻をすする音が聞こえてくる。
お前は泣かないのな。
ひょいっとわたしの顔を覗きこんできたのは、わたしの幼なじみで好きな人である松田 旬だった。
泣かないよ。確かに寂しいけど会えないってわけじゃないもん。
赤面しているのを見られたくなくて、わざと桜の木に目をやった。
ふはっ!お前らしいねぇ。
それに…わたしは地元進学だから、ほとんどの人たちとはすぐ会えるし。
ちらっと旬に目を向けた。
そうだな。俺は東京に行くから、なかなか会えないよな。
ここから、1000㎞以上はあるしね。
…頑張ってね。
ああ。 
お前こそ彼氏できるよう頑張れよ?
そう言われた瞬間、胸が苦しくなった。
……本当にわたしのこと何とも思ってないんだね…。
ん?何か言った?
何でもないよ。
へらっと笑って、その後逃げるようにして帰った。

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