第8話

好き
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2018/01/09 12:57
ー旬の好きな人って誰なんだろう…

授業中もずっとそのことばかり考えていた。
(旬…わたしはずっと前からあなたのことが好きなんだよ)
すると目の前がフッと暗くなった。
ん?
上を見上げると、コワモテをした先生がわたしの前で仁王立ちをしていた。
先生
何ぼーっとしとんだ。
お前ここ解いてみろ!
先生の話をまともに聞いていなかったため、その問題を解けれる自信がなかった。
え、えっと…
黒板とにらめっこして3分くらいたつが、まだ解けない。
みんなの視線が背中越しに伝わってきた。
(分かんない…どうしよう)
困っていたとき、後ろから声がした。
そこは前の時間に習った公式を使うんだ。 大丈夫、お前なら解けるレベルの問題だ。  
旬はまっすぐわたしの目を見つめてきた。

わたしはこくりと頷き、式をみつめる。
あ…分かった!
冷静になると、その問題もだんだん解ってきた。
解けたっ!!
安堵から顔が綻び、旬のほうを向いて言った。
ありがとう、旬!
…っ
旬はちょっと目を見開き、目をそらした。
駄目だ…また胸が締め付けられる。
好き…
 ー無意識にそう呟いていた。

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