ー好き
呟いてしまったその言葉は幸い旬の耳には入らなかったようだ。
聞こえてなかったことに胸を撫で下ろした。
昼休み、わたしの友人である百花が話しかけてきた。
ドキッとしながら答えた。
ニヤニヤしながら彼女はわたしを見て言った。
あまりにも彼女の声が大きいので、慌てて百花の口を塞いだ。
彼女が悪びれもなく、そう言ったと同時に旬がわたしに話しかけた。
いないよ!と言おうとした時、百花がわたしの声を掻き消すように言った。
旬は驚いた表情をし、戻っていった。
キョトンとしてると、百花がでこぴんしてきた。
そんな百花の言葉に勇気づけられたわたしは絶対告白しようと思った。たとえ旬に好きな人がいてもー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!