次に目を開けた時は元の世界に戻っていた。
ーと最初は思っていたけど、何かが違う。
机の上にある写真に写っていたのは、仲良く手を繋いでいるわたしと旬だった。
後ろで高校の頃より遥かに背が高い旬がいた。
ーお前がタイムスリップした後…
雅が他の男のものになる?俺と雅は昔から一緒にいたんだ。そんなの許せないー
涙が溢れた。驚きや嬉しさが隠しきれない。
そこまで言った時、ある1つのことに気づいた。
タイムスリップ前…旬といた彼女はどうしたのだろう。
彼女は幸せを逃してしまったのかもしれない。
旬が携帯を手にとり、1枚の写真をわたしに見せた。
それはタイムスリップ前に見た旬といた女性だった。
嬉しさのあまりわたしは旬に抱きついた。
旬の顔は真っ赤だった。
涙がぼろぼろと溢れた。
わたしたちは幸せに包まれていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。