第6話

手紙と銀色の鍵
58
2017/12/29 09:19
和人が亡くなって数日経った。
今日は10月10日。瑠璃の誕生日。
しかし、学校に瑠璃の姿はなかった。
和人が亡くなった次の日からずっと、
学校を休んでいる。
銀八
銀八
今日も夜刀神は休みか…
生徒
和人が死んじゃってからずっとだな…
生徒
あの二人、本当に仲がいい幼なじみだったからね…
生徒
確か、夜神くんは…
銀八
銀八
夜刀神を助けようとして死んだ…
生徒
目の前で…大切な人を…
生徒
ショックが大きいんだよ
銀八
銀八
まぁ、夜刀神が戻ってくるまで
俺たちは待つだけだ
生徒
そうですね!

in瑠璃の部屋

和人が亡くなってからは、
部屋から出る気になれない。
ベッドの上に座り込んでいるだけ。
今日は私の誕生日。だけど、そんな気分じゃない。
いつもは、隣に和人が居てくれたから…
瑠璃
瑠璃
…和人…
名前を呼んでも、和人は居ない。
本当に、
この世界から居なくなってしまったのだと実感する。
瑠璃
瑠璃
和人…寂しいよ…
思わず涙が溢れた。
一筋の涙が、毛布へ落ちた時……


ピンポーン


インターホンが鳴った。
今家には私しか居ない。
玄関を開けると、宅急便だった。
宅急便
あ、夜刀神瑠璃さん、ですか?
瑠璃
瑠璃
…はい
宅急便
貴女宛にお荷物が届いてます
瑠璃
瑠璃
…誰から…
宅急便
夜神和人さんからです
瑠璃
瑠璃
…和人…
その名前を聞いた瞬間、涙が溢れた。
荷物を受け取り、部屋に戻る。
瑠璃
瑠璃
和人からの…誕生日プレゼント…
中身を開けると、手紙と銀色の鍵が入っていた。
手紙には─────

『瑠璃へ

誕生日おめでとう!
18歳になったね!俺と一緒だ!
人生、思いっきり楽しめよな!

ここから暗い話になるけど、聞いてほしい。
最近、嫌な夢を見るようになったんだ。
瑠璃が、死んでしまう夢だ。
いつも助けられなくて、
瑠璃は血だらけで倒れている。
俺は瑠璃を抱き締めて泣いているんだ。
もし、本当に起こってしまったらって、
不安でたまらない。
もし、本当に起こってしまったら、俺が必ず守る。
そして、もし、俺が死んでしまったのなら、
それはそれでいい。だって、瑠璃を守れたんだから。

あ、銀色の鍵について説明するね。
その鍵は俺が起きた時に枕元に置いてあったんだ。
何に使うかは分からないけど、瑠璃なら使えそう。
俺はそう思う。
その鍵を、俺だと思って大切に持っておいてくれると嬉しいな。

和人より』
瑠璃
瑠璃
バ和人…
私を守るために…
手紙を読み終わったあと、綺麗に折り、
銀色の鍵へと手を伸ばす。
鍵には、青い宝石が1つ、付いていた。
まるで、瑠璃の瞳のような綺麗な青。
瑠璃
瑠璃
これは…どこで…
考えていると、鍵に付いている青い宝石が光り、
どこかを指し始めた。
瑠璃
瑠璃
この光りに着いていけばいいの?
光りに着いて歩いていくと、1つの扉の前に来た。
そこは、幼い頃に二人で作った秘密基地の扉だった。
瑠璃
瑠璃
この扉に使えばいいの?
鍵穴に鍵を指すとちょうどはまった。
この先に何があるのかは分からない。でも…

カチャリ…

鍵を回して扉を開く。
そこには─────



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