第9話
幸せ?
私はいつの間にかその場で崩れて泣いていた
それを大我先輩は困ったような表情で見ていた。
大我先輩は帽子を外すと目の前で泣き崩れる私の頭を何回かポンポンと叩いた
私は俯かせていた顔をあげ、鼻水を勢いよくすすると隣から懐かしい笑い声が聞こえた。
先輩の腹を空かせておく訳にもいかないから財布を取り出すと私のその手を大我先輩は掴んだ。
大我先輩の気持ちはありがたいけど、後輩として、ここはおごってもらうわけのにはいかない!!
先輩の手を振りほどくと今度は両手を掴まれて手の動きを完全に止められた。
私の手を解放するとキラキラした目で大我先輩はこちらを見た。
そしてリビングへ移動すると時間が気になり、時計を見た。
時計の針は12時30分を過ぎていた。
きっとこの幸せな時間は長くは続かないのだろうと思うと切なくなるが、
先輩はあくまで病院から脱走して来ている。
だから、きっと気持ちを表情に出すと病院に戻れなくなってしまうからここは自然体で振舞おう。
そう心に誓うと携帯にピザ屋の番号を打ち込み、耳に当てた
先輩は能天気に笑った。するとこっちもなぜか笑えてきて、
そんなに面白いことも言っていないのに2人で大爆笑した。
そうこうしているうちにピザ屋の店員が電話にでたから1番高いのを注文し、電話をきった。
大我先輩はいきなり神妙な顔つきでこちらをみる。
私はつばを飲み込んだ。
今の先輩からはあまりいい知らせが出てこないと感じ、心の中で緊張が走る。
緊張を誤魔化すかのように私はにっこり笑ってみせた
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