第10話

不安
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2017/12/30 09:54
菅原大我
あのさ…実は明日、心臓の手術があるんだ。
その手術さ、成功率が極めて低くて、ヘタしたら俺死ぬんだ。
私の緊張を察したのか、大我先輩は笑いながら話始めた。
全く笑えない。また出てきそうな涙をどうにか抑えた。
菅原大我
だから、もし手術成功したら、俺と一緒に住んでくれないか?
優香(私)
ふぇ?
予想外の言葉に変な声が出てしまった。
優香(私)
えっ...え?
ど、どういうことですか?
目を見開きながら先輩を見ると、どうにも冗談を言っているようにみえなかった。
菅原大我
えーっと...
この手術が成功したら、望みを1つ叶えてやるって親に言われて、
俺1人暮らししたいって言ったんだよ
恥ずかしそうに後頭部を抑えながら先輩はぼそぼそと言った。
菅原大我
で、でも、1人暮らししたらいきなり俺が倒れたら、誰も気づかないわけじゃん?
だから誰かと一緒に暮らしたいんだけど、親は嫌なんだよ。だから...
優香(私)
わかりました!!
成功したらいっしょに住みましょう!!だから生きてください!!
ずるいと思った。そんな状況で断れるわけないし、私的には断る理由すらない。
私の言葉に安心したのか、先輩はにっこりと笑った。
ピザが到着すると二人で絶品と呼ぶにふさわしいピザを食べた。
食べ終わると先輩は両親に電話をしたが、
スピーカーでもないのにハッキリ怒声が聞こえてきた。
菅原大我
なんかヤバそうだから今日は帰るわ
優香(私)
そうですね...明日の手術頑張ってくださいね!!
私は先輩が野球部にいた頃の試合前にやっていたように
背中に手でハートを書いてその中心を平手で叩いた。
菅原大我
なんか懐かしいな!!俺頑張るから
優香(私)
ファイトです!!
先輩は拳を握り、自分の胸にあてるとにっこり笑った。
これも選手だった時にやっていたことだ。
キャプテンだった大我先輩はこうすれば落ち着く!!と選手全員にやらせていた。
決まってその日は試合に勝っていたから凄いのだ。
懐かしい姿を目に焼き付けると先輩は「じゃあ」といって私の部屋を出ていった。
出て行った瞬間、不安が胸に広がった。

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