第10話

#9
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2017/12/30 08:51
その光景とは。

【父親が包丁を持ってこちらに向かってきている。】

今度こそ止めなきゃ。
そう思った私の足は、思う前から動いていた。

私は、前とは違う止め方をしようと決めていた。
だから…

『お父さん。話を聞いて。あのね、お父さんが言うように死んだら楽かもしれない。けどね?お母さんの気持ちは?もし、私達2人が死んだら?お母さんはどう思う?私ね、お母さんが死んじゃった時、決めたんだ。【お母さんの分までお父さんと力を合わせて生きよう。】って。』


『あなた…。』

『なのに、お父さんは【もう限界。】とか【2人で死のう。】なんて言ってもいいの?諦めてたら進まないんだよ?これだけ言ってもお母さんのあとを追いかけようって思う?』

こうして私は、お父さんに殴られるのを覚悟で言った。

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