.
みんなも私の存在に気づいたのか
びっくりした顔でこっちをみんなで見る。
裕 「 いとはちゃ .. 「 ひ..かるくん。みほ帰る」...」
光 「そっか。 帰ろっか。」
去年の9歳の誕生日。
お父さんは帰ってこなかったね。
今日。 10歳の誕生日。
やっぱりお父さんは帰ってこなかったね。
だからね、今度は私がお父さんに会いに行った。
なのにお父さんはいつも私を傷つける。
すごく上手。自分の娘に悲しい思いを。
辛い思いをさせること。
すっごく 上手だね ...
今泣いて。って言われたら2秒で泣けるな。なんて
今にもこぼれそうな涙を我慢して笑う。
こういう時のための練習だったんだよね。
今日は楽しい一日だと思ってたのに
お父さんは今日も裏切る。
きっと私のことなんてどうも思ってないから。
ねぇ、お父さん
ままはどうしたの?
もう好きじゃないの?
もうままのこと忘れちゃったの?
ままがあっちの世界に行ったあと
お父さんはこう言ったね。
『 すまん。仕事が入ってる。』
.
そう言って病室から出てった。
あの時からお父さんの中には
お母さんも
.
.
.
私の存在も
なかったのかもしれないね。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!