第11話

勘違い 。
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2018/01/07 15:17
あなた

美月 恋 «ミツキ コイ» ちゃん

あなた

すっごい可愛い女の子だったな〜

綺麗な黒髪にお人形さんみたいな大きい瞳の女の子。

童話の中から出てきたお姫様って表現は少し言い過ぎだと思われるかもしれないけど本当にそのくらい可愛い子だった。

ひとりっ子の私には妹みたいな存在で彼女の前ではちょっとお姉ちゃんぶったりしてた 。

小学校にあがる前に引っ越しちゃったからそれから会ってない。

幼稚園生であの可愛さなんだから今はもっともっと可愛くなってるはず。

久しぶりに思い出したら会いたくなっちゃった。






そんな思い出に浸ってたら七瀬のクスクスと笑う声がした。

あなた

なんで笑ってんの?

お前まじかよ 
そいつ、女じゃなくて男。しかも名前は«コイ»じゃなくて«レン»な 。
そう言う彼はけらけらと笑ってる。



え、いや、嘘… 。


コイじゃなくてレンだったの?しかもこんな可愛いのに男の子??

信じられない。







…………ちょっと待って。

なんで七瀬がそこまで知ってるの…??

私の通ってた幼稚園に七瀬 恋 なんていなかったから七瀬がコイちゃんのこと知ってるわけない … 。



ん、、……??

女じゃなくて男。

コイじゃなくてレン…………




七瀬 恋 «ナナセ レン»

美月 恋 «ミツキ コイ»





私の頭のに一つの仮説が浮かんだ。

絶対に当たってほしくない仮説が。
あなた

もしかして、もしかしてだよ?
……コイちゃんって……七瀬??

にひ、っと笑う七瀬 。

違う、違うって言って… !!
せーかい
そう言って彼は笑顔でパチパチと手を叩く。
あなた

うそ …

本当。
あなた

いやーまじか、嘘だぁ…

正直 驚きを隠せない。

ずっと女の子だと思ってたコイちゃん改めレンちゃんが男の子でしかも七瀬だったなんて…

信じられないけど写真を持ってるんだからきっと本当なのだろう。
あなた

絶対 女の子だと思ってた…

思い返してみれば不思議だったことは沢山ある。


恋ちゃんの一人称は“僕”だったし

スカートを履いてるとこなんて見たことないかもしれない。

幼稚園は私服のところで制服なんてなかったからただただスカートが嫌いなだけかと思ってた。

それに、多分 コイちゃんって呼んでたのは私だけ。
酷いよね〜。
俺は引っ越し決まって
もしかしたらあなたに会えるかもって
わくわくしながらこっち戻ってきて
戻ってこれただけでも嬉しいのに
あなたと同じクラスでしかも隣の席ってすげぇ嬉しかったのに
俺のこと忘れて“初めまして”なんて挨拶してきて
挙げ句の果てに俺のことコイちゃんって女の子だと勘違いしてるし…
はぁ、とため息をつきながら呆れたように話される。


…ごめんなさい。それしか言えません。

もう嫌。ホント、俺の十数年の片想い返してほしい
は、… ?? 
あなた

今なんて??

俺の十数年の片想い返してほしいって
十数年の片想いって……











































ずっと好きだったんだよ??あなたちゃん? 
こて、っとあざとく首を傾げ


幼稚園の頃と同じ呼び方で言ってくる。












きっと今の私は顔も耳も真っ赤だ 。

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