今日から地獄が始まった。
あっという間だった。
これからの自ら選んだ地獄をどう過ごせばいいのか、目を閉じて考えてる間だった。
目を開けるともう朝、地獄の登校日。
朝一緒に行くはずだった友達にはドタキャンされて祖母に送ってもらった。
もうそこから憂鬱だった。裏で車を降りた瞬間から心がとても重くて、真っ黒なおもりでもつけてるようだった。
教室に入ってからは寒かった。
寒い?何故か全身を包んでしまいたい、見て欲しくなかった。
視線を感じたからか。
ただの思い込みなのか。
転校生が来た。
男だった。皆の目や意識がそっちに向かったように思えて安心してた。
いじめられてる訳でもない。
席が前後になれば、話せる友達はいる。
なにかを忘れても貸してくれる友達はいる。
でも、心を開いて話せる親友はいない。
一緒に帰ってくれる友達、手を振ってくれる友達、遊びに誘ってくれる友達、
そんなのいない。
友達なんか要らないから、親友がたった1人居れば私は良かったんだ。
ほらまた地獄が待ってる。
生きたくない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。