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第1話

出会い.
28
2017/12/30 21:44
ー あの日見た星は君のようだった ー
立ち入り禁止の扉を開けて屋上へ出た。今日はいつにも増して良い天気だ。
「こんな日も悪くない」 そう呟きながらフェンスに腰をかけた。
「わあっ!」ほんの数秒だったのだろう、私は驚きを隠しきれず跳ね上がった。しかしその驚きから現実に戻るのに、数分かかった気がした。 1段上にあるコンクリートの展望台、その上で誰かが空を見上げていた。
私の声に気づいたらしい彼が私を見つめる。「どうかした?」 彼は表情も変えずに言う。
「いや、あの、君がいると思わなくて…。」
「あ、俺? いつもこうして空を見てるんだよ」 彼のその目はどこか遠くを見ていた気がした。
「あ、お前の名前は?俺、星哉」
「え、えっと、輝羅」
「輝羅、か、よろしく」
「あ、うん」
彼がなにを考えていたか分からないが、私はこの時にこの人とは全く違うタイプだなと一瞬で分かった気がした。
「あ、そうだ。ちょっとお願いきいてよ」
「え、私に?」
「そう、輝羅じゃないとだめなんだ」

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