第3話
夢のようなひととき
4階。
あたし達はゲームセンターに来ていた。
そこであたし達はクレーンゲームで楽しんでいた。
瑠夏は細かい計算と直感を頼りに景品をほぼ全て1回で取ってしまった。そのため彼女はかなりの凄腕プレイヤーと周りに勘違いされていた。
なんて言いながら、今は頑張って料理も得意になったんだよと心の中で言っていた。
今は編み物も裁縫も何でも卒なくこなせる。
全部、伝えたかった。
ゲームセンターから出て、5階のレストラン街に来ていた。たしかに美味しそうな寿司やケーキの写真がある。
確かここは凄く評価の高い店だった気がする。
というのも、料理は美味しい、時間も長い、それなのに価格がかなりリーズナブルというところが人気を集めた名店だったはずだ。
あたし達は店に入り店員から説明などを聞くと迷わず寿司コーナーへ向かった。
瑠夏の持った皿には既に10数貫寿司が乗っていた。
おそらく彼女は心臓に欠陥が無かったらもっと大食らいになっていただろう。
と思いながら気が付けばあたしもそれと似たような量寿司を取っていることに気がついた。
あ、これはわかってないパターンだ。なんて思いながら、今はこの時を楽しもうと心を切り替えた。
その後、8時過ぎまで遊び通してしまいお互い家に帰るとこっぴどく叱られたのは19歳になった今では笑い話になる。
瑠夏は頷く。
あたし達は2階の雑貨店に来ていた。
瑠夏が見せてきたのは、可愛らしい棒付きキャンディのキーホルダーだった。
まぁあたしは雪音価の末裔だもんね、それがいいよね。なんて思いながらそっと赤色のキャンディのキーホルダーを取る。
そう言うと瑠夏は嬉しそうに笑った。
キーホルダーを買った。
あたしはそのキーホルダーがどうなるのかを知っている。あたしの宝物になって、かばんにあたしの青のキャンディのキーホルダーと一緒に付けられる。
親に、貰ってあげてと言われるのだ。
-7時半。
さて、漫画やアニメならもう少し後になってから「実は、」と話を切り出すのだろう。
-あたしも、言わなければならない。
そう、言わなければ。……きっと、後悔してしまう。
だから、と瑠夏の名前を呼んだ-…
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