街には年々 雪が
降らなくなってゆく
大きな雪だるまが出来るほど積もった頃が恋しい
いつかは世界から雪が消えてしまうのかな?
それは良くないね
地球の危機は避けたい
心には年々 雪が
降り積もってゆく
積もりすぎた締雪が重くて身動き取れずに辛い
このまま降り続けたら自我が消えてしまうのかな?
それでもいいかも
どの道危機から脱せない
なんて蕭々と降り注がれる雪を見上げて思う
これは何の雪だ?
あまり降ることはなく
恋しいだけで詳しくは知らない
まるで淡い恋のようだとせせら笑う
どれくらい経っただろう
時間を知る術はなくて
行き場もなく人気もなく
ひっそりと雪宿りして
目に見える範囲だけの
時の流れに身を任せるだけ
滅多に降らない雪このまま降り続け
私が埋もれるほど積もってしまえ
黒い邪悪な心でも
真っ白く、真っ白く
染めあげられるだろうか?
きっと染まったとしても
灰色止まりだろうな
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!