
第30話
真実
ヘリコプターで近くまで行くと車が止まっていた。
高そうな料亭に入っていく。
ああ、ここ。
よくお父さんがご飯食べに行くところ。
和室の前で座る。
練習通りに正座をして頭を下げる。
2人で座ると、お父さんらしい人しかいなかった。
ちゃんと断ろう。
ちゃんと。
いや、1回だけお茶をしないと。
襖が勢いよく開く。
正座をして、頭を下げるその人の声に聞き覚えがある。
悩んでいた頭の中にスルスルっと入り込んでくる声。
『遅いんだよ、待ちくたびれたよ』
そう言って入ってくる人。
ずっと会いたくて会いたくてたまらなかった。
なにをしても頭から離れなくて。
ずっと心の中を支配していた人。
あなたに会いたくて話したくてたまらなかったの。
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