第31話
ヤンキー君のお気に入り
考えるより先に身体が動く。
正装している新田くんの胸に勢いよく抱きつく。
頭をなでながらぎゅっと抱きしめ返してくれる。
席に戻れ、と合図をされてさっきの場所に戻る。
するとお父さんの隣に新田くんと、その後ろに2人が立つ。
え?2人が立ってるって。
2人が出ていくと一気に肩の力が抜ける。
そう言って二人きりにしてくれる。
元気そうでよかった。
沈黙が流れる。
目の前が新田くんの顔でいっぱいになる。
唇に触れる柔らかいモノ。
急にキスされるんだもん、どうしたらいいかわからなくなっちゃった。
顔もまともに見れないし。
今までにないくらい真剣な眼差しで。
私を射貫く目。
手招きをされて横に座ろうとする。
引き寄せられて新田くんの股の中に入る。
見つめあってキスをする。
あなたがいてくれて良かった。
あの日助けてくれた時から、あなたの虜なの。
あなたのお気に入りでいられたこと、すごくすごく嬉しい。
これからもずっとそばで支えさせてね。
新田くん。
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