
第11話
叫び
ゲームセンターで遊んだあと、二人と別れてこの前の丘に。
バイクにまたがったまま新田くんは私を見ていた。
夕陽が綺麗で、心が洗われる。
本当はずっと思っていた。
息苦しくて楽しくなくて。
紫乃ちゃんがいれば楽しいけど、いない時は本当につまらなかった。
やめたいって思うことも何度もあった。
でも、お父さんが困る、お父さんのためにって頑張ってきた。
自分は金持ちの器じゃないことは理解しているつもりだ。
最終的に、お父さんの家業を継ぐにしても、ほかの人に頼みたい。
小さく呟いた言葉は誰に届くわけでもなく沈んでいく。
急に聞いてくるもんだから、驚く。
なんて、冗談っぽく聞いてみる。
バシンと背中を叩く。
いつでも?
呟いた言葉は地面に沈んでいった。
家の近くまで送ってもらってヘルメットを渡す。
金髪が風に攫われて綺麗に光る。
その日から、新田くんが送り迎えをすることはなくなった。
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