第7話

主人公side⑦
361
2018/01/08 08:25
あなた

…………

予想していた衝撃はいつまでたってもこない。

さすがに待ちくだびれて目を開けた。
みさき
みさき
なんで笑ってるの?
あなた

え?

みさき
みさき
これから斬られるっていうのに……君はおかしな人だね
あなた

……笑ってる?

みさき
みさき
うん、笑ってるじゃない。自覚ないの?
そう訊いてきたので、手を顔にあててみた。

確かに口角が上がっている。

こんな状況で笑う自分はどうかしてる。

それがおかしくて、肩を揺らした。

すると、青年は顔をしかめた。

そして、「やっぱりへんだよ。医師に診察してもらったほうがいいね」と言って刀を鞘におさめた。

それから、私は「ほんけ」につれてこられた。

立派なお屋敷だった。

ある部屋に通された。

そこにはお医者さんがいて、自覚症状の有無をいろいろ訊いてくれた。

腕の出血に関しては、処置どころか触れられもしなかった。

結果、「ただ単に気がおかしい」という診断がついた。そばで見ていた青年は微笑んだ。
みさき
みさき
なあんだ。よかった、どこか悪いのかと思ったけど違ったね
自分のことのように喜んでくれた。

青年は笑っていた。

それは、たしかに内面からくる笑顔だった。

それから、ある部屋に連れてこられた。

すぐに殺されると思っていたけど違うようだ。

そこは、言わば牢屋みたいな部屋だった。

床は畳じゃなく地面だった。

ドアは鉄格子、トイレは穴みたいなのがある。

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