第11話

主人公side①①
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2018/01/05 14:26
みさき
みさき
ねぇ、なにか言ったらどうなの?
あなた

なに、か

みさき
みさき
殺そうか?
あなた

あ、はは

冗談は時を越えても通じるらしい。

なら言ってみよう。

だめもとでお願いしよう。

そう思った。
あなた

あ、……のぅ

みさき
みさき
やっと、観念する気になった?
みさきさんが見える。

とてもきれいな顔だな……そうか、ここは夢?

ーーなんて暗い夢。

まぁ、いいや。

もう終われる。

みさきさん、お願いします。
あなた

わ、たし、……を…殺してくれ、ま……すか?

みさき
みさき
は……?

大きなひとみが見開かれる。

きれいな目だな。

そこで意識が途絶えた。


ーー

ーーー


目が覚めた。

傷口に手を持っていった。

けれど、感覚はなかった。

腕を触っているけれど、それが自分のものとは思えなかった。

まるで、麻酔が効いたときみたいに感覚はない。

それに、昨日までの景色と違う。

湿気を帯びた檻の中は、とてもくらかった。

けれどここは明るくて、ちゃんと屋根がある。久しぶりの部屋のなかだ。
みさき
みさき
あ、気がついたね

となりを見た。

みさきさんがあぐらをかいて座っていた。

あなた

ーーっ

みさきさん、と言おうとした。

けれど、声が出なかった。

困っていると彼は笑った。

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