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第20話

みさきside❽
蘭丸
あ、あなた笑えるんじゃん。なんだ、てっきり笑えないのかと思ってたぜ
あなた

い、いえ、そういうわけでは……




……笑ってる。あんなにかたかった表情がーー


肩の力が抜けた。なんとも言い知れぬ感情が溢れてくる。


僕は彼女の笑う顔を見たことがない。

いつも無表情で、ほとんどしゃべらなくてまるで人形みたいだった。けれど、蘭丸のまえでは違うようだ。


とても柔らかい笑顔だった。

太陽の光を浴びてキラキラ輝いていた。

まるで彼女自身が光をはなっているようだ。


胸のおくがチクリと痛い。……なぜ?


握る手に力を込めたあと、足を踏み出した。

彼女と目が合う。

廊下の角から出てきた僕に驚いているようだ。
あなた

み……みさき、さん

蘭丸
あ、みさき兄いたのか?
目を見開く少女を睨みつけた。ポカンとする蘭丸など気にもとめない。
みさき
みさき
部屋から出るなって言ったよね?
あなた

え?

みさき
みさき
ねぇ、わかってる? 君、何様だと思ってるの? 捕虜を助けてやったというのに……いい加減にしなよ
あなた

あ……すみ、ません……

彼女の瞳が悲しみに満ちていくのがわかる。けれど、そんなことどうでもいい。
みさき
みさき
もう2度と部屋から出ないで
あなた

はい……

部屋へもどろうとする彼女。
みさき
みさき
それと
あなた

彼女の髪留めに手を伸ばした。

それは、わずかな抵抗ではずれ、髪はまとまりを失った。
みさき
みさき
こんなもの捕虜が身につけるなんて許さないから
あなた

……すみません

彼女は無表情のままゆっくりと背を向けた。そして、ゆるゆると部屋へ戻っていった。


僕は彼女の姿が見えなくなるまで、視線を外さなかった。
蘭丸
な、なぁ、みさき兄。言い過ぎじゃねぇか?
みさき
みさき
なに? 文句あるの、蘭丸。君、いま捕虜と話してたよね? 言いつけてあげようか。罰を受けるよ、きっと。それでもいいならーー
蘭丸
あ、ありません
慌てる蘭丸を置いて僕は部屋に戻った。


その日はなにも手に付かなかった。


握りしめたままの髪留めだけが妙に生ぬるく感じた。


なんでこんなにイライラするのかな。

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無自由
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無自由
初めまして。普段は魔法のアイランド様のサイトにて、無自由という名で活動しております。ほぼ18歳推奨の作品ばかりです。 https://s.maho.jp/book/14aab6h33f8c13da/ 福岡県北九州市在住。♀。33歳になっていた。病院勤め一年で退職。その後、スターバックスでフルパートとしてハッピーライフ。一年後貯金がなくなり慌てる。再び看護師へ。25歳で結婚。子ども息子が2人。現在仕事正社員として継続。眠い。
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