その言葉に顔をしかめた。
僕は部屋をあとにした。
暗い廊下を歩きながら考える。
なぜ、行くななどと言われなければならないのだろう。
そんなこと勝手なのに、正道兄さんはなにを疑ってるんだ?
まさか僕が彼女のことを……バカバカしい。
それにしても、最近イライラするのはなぜだろう。
足を止めて、外を見た。空には大きな月が浮かんでいる。
命とはなんだろう、と考えてみる。けれど、なんにも思い浮かばなかった。
そんなことどうでもよかった。
ポツリとつぶやいた。
この感情はなんだろう?
この苛立ちはなんだろう?
僕は、どうすればいいんだろう?
ーー……
朝がきた。
彼女の部屋へ行った。
言おうと思った。ちゃんとはっきりと伝えようと思った。
そうでないと、このモヤモヤはなくならない。
素直になろう。
それがいい。
僕のためにも、彼女のためにも。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。