第5話

神様
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2018/01/01 02:55
今僕は落ちている。 



正確に言うと、さっき妻にマンションのベランダから突き落とされたんだ。



妻が突き落としたわけもわからない訳では無い。



僕は毎日のように妻に暴言や暴力を振るい、いわゆるDV夫だったんだ。



突き落とされて当然だ。



えっ?なんで僕がこんなに焦っていないかって?



落ちているっていっても時が止まったように遅く落ちるんだ。



不思議だよね(´^∀^`)







あぁ〜







僕の人生。



いろんな事があったなぁ〜


初めて会った妻は綺麗だったな。


どんな男も妻に振り向かないわけがなかった。


だから、振り向いてもらった時の嬉しさはこれ以上ないくらい嬉しかった。


いつからか妻はどこか遠くへ、僕の届かない距離までは駆け上ってくと思いはじめた。


そのときからかな。


妻は知らない男と密会しているような気がした。


実際そうだった。


僕みたいな、何の特徴もないオトコはすぐに捨てられるんだ。


振り向いてもらった時の嬉しさは大きい分、裏切られた時の怒りは大きかった。


オトコとあった後の妻に問い詰めた。


何時間経っただろうか。


気が付けば、妻はボロボロになっていて、


「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」


と唸るように謝っていた。


はじめて僕は人に暴力を振るった。


その時の快感が忘れられなくて…………


僕はまた妻に暴力を振るう。




あのときの僕は、狂っていたと自分でも思う。






あぁ〜






神様はこんな僕にでも「反省」する時間をくれるのかと、嬉しく思う。




そろそろマンションの一階ら辺まで来た。




その時には、一階の人のテレビのチャンネルまで見えた。




どんどん時が遅く進んでいる。




あぁ〜




神様




ありがとう


ありがとう


ありがと、ウッ。

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