前の話
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今日は恋人である真司(しんじ)に会いに行く日であった。
いつも通りの朝を起き、いつも通りに支度を済ませ、彼の家に向かった。
歩いていると、急に胸騒ぎがし、嫌な予感がした。
その嫌な予感が当たったのだ。
信号が青になり、渡ろうとした瞬間、目の前が急に真っ暗になった。
どうやら、信号を無視した車と衝突してしまったらしい。
自分でもどのくらいの間、倒れてたか分からないが、1人のおじさんに起こされた。
「大丈夫かい?」
『はい。ありがとうございます』
とても親切な人だった。
「まだ気づいていないようだね?」
その言葉に何故か胸がざわついたが、お礼を言って彼の家に向かった。
ピンポーン
「はーい」 ガチャ
『真司遅れてごめん。いろいろとあって…。』
「おまえ…だれ?」
『あたしだよ!真司の彼女の聡美!』
私のことをわかっていない彼を見て思わず逃げてしまった。
でも、彼の言ったことは少しわかるような気がした。
まるで5年前の、彼と出会う時の姿によく似ていたのだ。
~つづく~
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。