第14話

回想 ゲーム 4
40
2018/08/05 06:32







「へぇ…まだ戦うんだ?
もう、俺の勝ちは確定しているのに。」



先輩は無表情のまま私を見下ろす。

その瞳は驚くほどに冷たくて、思わず言葉に詰まりそうになる。


それでも…私は、ここで負けを認めるわけにはいかないんだ。

亜紀のためにも、戦わなくちゃいけない。


それにまだ、今なら亜紀も助かるかもしれない。


はやくこのゲームを終わらせて、亜紀を助けるんだ…!



「まだ…ゲームは終わってない。
だから……

私は戦う…!」



「…なら、好きにすればいいよ。どうせ俺の勝利は決まっている…。

それに菜波はルールを違反したから、ペナルティとして次からそのカードは使用禁止だ。」




そう言って先輩は、私が亜紀から受け取ったクラブのKのカードを指差した。



「…わかりました。」



私はそう言うと、動かない亜紀に歩み寄ってクラブのKをその手に握らせた。

亜紀の手についた血が、私の手につく。


……まだ、僅かにだけど息はしてる。死んでない。まだ助かる可能性はある…!



「それじゃあ、始めようか。…これで終わりだ。」



私と先輩は足元に落ちているサイコロを一つづつ拾い上げて、立ち上がる。


先輩は、ニヤリと妖しい笑みを浮かべて。
私は、鋭く先輩を睨みつけながら。


そうして、最後のゲームが幕を開けた。

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