「あ、あの…桜塚さん!」
放課後、生徒会室に行こうと教室を出たところで
同級生に声をかけられた。
「何?」
振り返って問うと、生まれつき鋭いらしい
この目付きのせいか慌てて目を逸らされた。
「えっと…今度、クラスのみんなで
部屋を借りて集まろうって話をしててね…」
「…そう。それで?何でそれを私に話すのかな」
オドオド話されることに苛立ちを覚えたので、
間髪入れずに返して早く切り上げようとする。
『もういい?』
『私は忙しいの』
全身でそうアピールしていると、
横から別の生徒が出てきた。
「桜塚さんの予定を聞きに来たの。
参加するでしょ?同じクラスなんだし」
クラス替えしたばかりなのに、もう遊ぶのか。
くだらない。そんなのどうだっていい。
どうせ忙しいから無理だし。
てかお前ら暇人かよ。
「私はいい。他の人たちで好きにして」
それだけ言って背を向けた。
「何あれ、感じわるー…」
「せっかく誘ってやったのにね」
さっきまでの態度が嘘のように愚痴をこぼす彼女たちに
『私は頼んでないけどね。』
と心の中で呟いてスクバを持ち直すと、
今度こそ生徒会室に向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。