第15話

回想 ゲーム 5
38
2018/08/05 06:33







「じゃあ…ルールは同じでいいよな?
サイコロはまた菜波が振ってくれ。」



ひゅっ、と音をたてて、青いサイコロが投げられた。


私はそれを素早く右手でキャッチして、自分の持っていた赤いサイコロと一緒に左手に持つ。



「…わかりました。でも、その前に少しいいですか。」



「ん?どうした?」



サイコロの仕掛けはもう見破った。
おそらく、もう他に仕掛けはないだろう。


しかし、サイコロを振るのは私。サイコロの選択権は先輩にある。


亜紀の命を握られている今、それに反発することはおそらく不可能だ。


先輩が投げてきた青いサイコロを右手に持ちかえて、手のひらで転がす。

重心は変わらずずれているようだ。


だとしたら…私が勝てる可能性のある方法はおそらく一つだけ。



勝てるかはわからない…。

けど、やるしかない!



「次のゲームの勝利選択権を得られるのは、“数の小さな目を出した方”でいいですか?」



私はまっすぐに先輩を見つめる。


先輩は私を見つめ返して考え込んでいたけれど、最後の悪あがきだとでも思ったのだろう。


ふっ、と笑みを零して、



「…いいよ、どうせ最後だしね。
でも、サイコロの選択権は変わらずに俺にある。
……俺は、赤のサイコロを選択する。」



先輩がそう言った。私は赤いサイコロを先輩に見えるように右手でつまんで、「これですね?」と確認した。



「あぁ。それにするよ。」


「……では、私はこっちにします。

…それじゃあ、振りますね。」



私はもう片方のサイコロを握った左手を見つめて、そう言った。


先輩が選んだのは、右手の赤いサイコロ。




__これで、この勝負は私の勝ちだ。







私は勝利を確信して、“2つの赤いサイコロ”を中に放った。

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