少ししてから、お父さんも入ってきた。
誰のせいだと思ってるの。
今の時刻は12時過ぎ。
少し強めに制止され、黙る。
「俺も一応親だからな。」そう言っていたのを思い出す。
先生がそう言うと、バツが悪そうに目をそらした。
そして、お母さんが紅茶を出してくれる。
そう言った後、メガネを取り、前髪をかきあげた。
っ!
正直、先生がこの姿になることは予想していた。
何となく、先生ならこのくらいするかなって。
お父さんとお母さんは、驚いたように先生を見つめた後、お父さんが口を開いた。
急に質問を投げかけ、少し困ったような表情をした。
正直な気持ちは、さっきのレストランで吐き出した。
ずっと、心の奥底にしまって、隠してた。
私の気持ちを知った今、2人はどう思うんだろう。
いつもそばにいてくれるのが当たり前…?
いつもそばになんて居てくれなかったくせに。
その通りだと思った。
そして、しばらく沈黙が続いた。
きっと、お父さんとお母さんの思ってることは、多分、一緒。
寂しげな表情で、私をみながら言った。
あぁ、そういうことか。
そりゃ分かんないよね。
困らせたくない。その一心で私は…
そう言った瞬間、2人はハッとしたようにこちらを見た。
覚えてることは覚えてるんだね。
あの時……
そう、あれは私がまだ私が6歳だった頃の話。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!