ー先生目線ー
いた……
2人で楽しそうにはしゃいでいる。
『もしかしたら、もう遅いかもしれないよ。』
先程言われた言葉がリピートされる。
でももう、俺の答えは決まった。
それを素直にあいつに伝えればいい。
俺は息を吸い込み、叫んだ。
ー自分目線ー
えっ…
先生の声……?
私は振り返る。
なんでここに…?
ズキンと胸が痛む。
よりによって、陸とデートしてるところを見られるなんて。
私は、先生に背を向けた。
それでも走ってくる足音は近づいてくる。
そして……後ろから手を引かれ、振り向かされた。
そっか、って事は…
『答えは?』そう聞く前に、先生は口を開いた。
そう言われた瞬間、喉が苦しくなり、泣きそうになる。
私は陸を見る。
私は今、陸と付き合ってる。
だから、今は……
急に言われ、アホ抜けた声を出してしまう。
…はい。
うん、楽しめたよ。
陸がちゃんと私を楽しませよう。って言う気持ちが伝わってきたし。
うん、もちろん。
陸は、面白いし、幼馴染だし、今までの経験からして、こんなに息が合う人はいないと思う。
……いいえ…。
ごめん、好きに…慣れてない。
でも……友達として、幼馴染としては、本当に好き。大好きだよ。
はい…
私は、陸の言葉を聞き、涙が溢れた。
あぁ、もう。
私は俯いたまま、溢れる涙を手で拭う。
“別れる”………
でも、そしたら……陸が…
私が叫ぶと、陸は振り向く
私が叫んだあと、陸は「はぁ。」とため息をつき、言った。
もう…
陸も最高。
なんて言ったらいいか分からない。
けど……
これだけは言える。
陸は、笑顔で手を振ってくれた。
私も、泣きながら、笑顔で手を振り返した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。