第62話

ありがとう。
3,488
2018/04/03 01:59
ー先生目線ー



いた……


2人で楽しそうにはしゃいでいる。


『もしかしたら、もう遅いかもしれないよ。』


先程言われた言葉がリピートされる。
先生
チッ

でももう、俺の答えは決まった。


それを素直にあいつに伝えればいい。


俺は息を吸い込み、叫んだ。
先生
あなた!

ー自分目線ー
先生
あなた!
えっ…


先生の声……?



私は振り返る。



あなた

嘘…先生……


なんでここに…?


ズキンと胸が痛む。


よりによって、陸とデートしてるところを見られるなんて。


私は、先生に背を向けた。


それでも走ってくる足音は近づいてくる。


そして……後ろから手を引かれ、振り向かされた。
先生
ごめん、俺が悪かった。
あなた

えっ…?

先生
俺が早く答えを出さなかったから…

そっか、って事は…
あなた

それで、答えは出たの??

先生
あぁ。
『答えは?』そう聞く前に、先生は口を開いた。
先生
俺は、お前と一緒にいたい。



そう言われた瞬間、喉が苦しくなり、泣きそうになる。

あなた

でも…


私は陸を見る。


私は今、陸と付き合ってる。


だから、今は……
あなたに質問をします
あなた

えっ?


急に言われ、アホ抜けた声を出してしまう。
あなた

えっ、あ、どーやって答えるの?

あぁ、口には出さなくて良いよ。
ただ、心ではちゃんと答えて。良い?
あなた

うん、分かった。

じゃあ、行くよ。
俺と居るのに、何か考え混んでいた。
それは先生のことでしょ?

…はい。
次、俺といた時、少しでも先生を忘れて楽しめた?


うん、楽しめたよ。


陸がちゃんと私を楽しませよう。って言う気持ちが伝わってきたし。
それと、俺と居て楽しかった?

うん、もちろん。


陸は、面白いし、幼馴染だし、今までの経験からして、こんなに息が合う人はいないと思う。
それから……俺の事好き?…恋愛的に。


……いいえ…。


ごめん、好きに…慣れてない。


でも……友達として、幼馴染としては、本当に好き。大好きだよ。
最後に……まだ…先生のこと好き?

はい…
あなた

ごめん……陸…

謝るなよ、
あなた。もう良いんじゃね?
自分を犠牲にしてまで、そんなに苦しむなよ。

私は、陸の言葉を聞き、涙が溢れた。


あぁ、もう。
あなた、別れよう。

私は俯いたまま、溢れる涙を手で拭う。
じゃあ、また明日な。
あとは、先生。任せたよ。
“別れる”………


でも、そしたら……陸が…
あなた

………待って!

私が叫ぶと、陸は振り向く
あなた

そしたらさ!
陸も同じじゃんか!
私と別れたら、陸も自分を犠牲にしてるよ!

私が叫んだあと、陸は「はぁ。」とため息をつき、言った。
お前はバカだなぁ。
お前ほど、犠牲にしてねーよ。
俺も、好きな人には幸せになって欲しい。 それが一番だ。
それに、きっと、あなたは先生と幸せになれる。
俺と居るよりも。
まぁ、もし、先生に泣かされたら俺んとこ来い。慰めてやっから。

もう…


陸も最高。


なんて言ったらいいか分からない。


けど……
あなた

ありがとう!

これだけは言える。
あなた

陸!
大好きだよ!

おう!


陸は、笑顔で手を振ってくれた。



私も、泣きながら、笑顔で手を振り返した。

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