お父さんとお母さんは、会社で出会って結婚した。
2人の仕事は、洋服など、ファッション関係の仕事をしている。
おじいちゃんと同じ会社だ。
私は小さい頃、ほとんどの時間をお手伝いさんと過ごした。
その人の名前は、佳奈さん。
佳奈さんは、いつも私が寂しくならないようにと、たくさん遊んでくれた。
一緒にお菓子を作ったり、公園に行ったり、買い物に行ったり。
お姉ちゃんみたいな存在でもあり、お母さんのような存在でもあった。
でも、私が小学5年生になった春。
佳奈さんは、急に病気で倒れ、そのまま亡くなってしまった。
何も伝えられないまま、もう会えなくなってしまった。
今は、毎年、佳奈さんの命日には御墓参りに行く。
それからは、お手伝いさんを雇わなくなった。
私がいらない。と言った。
だって、佳奈さんの代わりはいないし、お母さんの代わりなんて嫌だった。
それに、佳奈さんがいなくなった今、お母さんは、私と一緒にいてくれるかも。なんて考えたから。
でも、そんなことはなく、お父さんとお母さんは今まで通り働いた。
海外へ行くようになったのは、高校生になってからだけど、
朝早く仕事に行き、遅く帰ってくる毎日は当たり前だった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。