第110話

次の日
1,934
2020/04/09 01:00
ー次の日ー


今日もプリントが配られ、放課後に準備室に行くことになった。
あなた

せんせー?

私は準備室のドアを開けながら言った。
先生
…お前か
あなた

はぁ、お前ですよ〜

毎度毎度同じセリフをよくもまぁ、
あなた

はい、今日の分のプリント

プリントを受け取った先生は、薄い。と呟いた。
先生
これ、全員分あんのか?
あなた

ない!

先生
全員分集めるのがお前の仕事だろ…?
あなた

しょうがないじゃん!
最近プリント提出多いし、みんな難しいって言ってたよ!?

先生
ったく、
ーコンコン
先生
はい
明日香
失礼します。
先生
櫻井さん、また質問ですか?
明日香
いえ、プリントを持ってきました。
先生
あぁ、櫻井さんも係でしたよね。
ありがとうございます。
全部ありますか?
明日香
はい!
先生
さすがですね、
そう言って先生は微笑んだ。


なんだそれ。


私が全員分持ってきたとしても絶対そんな事言わないでしょ。
明日香
これ、難しいって言ってる子が結構居たんですけど、私がわかる範囲で教えました。間違っているところがあるかも知れないんですけど。
先生
分かりました。ありがとうございます。
明日香
いえ。
あ、そうだ。塾で出された宿題があるんです。
明日香ちゃんはゴソゴソとバックの中をあさる。
明日香
あった、これです。
この問3の(2)がどうしても分からなくて…教えていただけますか?
先生
ええ、もちろんです。
どうぞ。
明日香ちゃんは先生に促された席に座った。


そして、先生はその隣に座って問を解く。


さーて、私はどうするか…


昨日は勉強するのが嫌で先に帰ったけど、


後々考えて後悔したんだよなぁ、


だって、放課後の準備室に先生と明日香ちゃん2人きりなんて…


はぁ、正直、このまま2人きりになられると嫌だし、


帰る訳には行かない…かな。


そう考えを巡らせていると、先生が顔を上げた。
先生
藤咲さんはどうされますか?
あなた

あ、えっと、じゃあ…私も少し自習をしてもいいですか…?

先生
はい、どうぞ。

私は先生の前に座り、リュックから数学のワークを取り出す。


よし、やるか。


んーと、まずは等式変形かな?あ、違うや。


この公式に当てはめれば良いだけか。


………ん?答えが出ない…


もう1回…っと。


よしきた!


1、2問時終わったところで二人の会話が耳に入る。
先生
ここまでは分かりますか?
明日香
はい、大丈夫です!
先生
ここからですね…
明日香
イオンの数がどう変化するのかがよく分からなくて…
先生
これは、こちら側のイオンとこちら側のイオンが………
図を交えながら話をする先生。


うんうん!と頷きながら話を聞く明日香ちゃん。


こうやってちゃんと質問して、聞いてくれる生徒って、先生にとっては嬉しいんだろあなぁ。
明日香
そんなことあるんですか!??
あなた

ふふっ、

明日香ちゃんの反応が可愛くて思わず笑ってしまった。


その時、
先生
ふっ、そんなことあるんです。
先生は少し笑いながら言った。


あぁ…やだな。


ガタンッ


気づいたら私は立っていた。


2人とも驚いた様子で私を見た。
先生
どうかしましたか?
あなた

……帰る

ボソッと呟いた。
先生
え?
あなた

ごめんなさい、帰りますね。
用事を思い出したので。
さようなら。



そう言って私は、ワークと筆箱をリュックに詰め込んで準備室を出た。

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