第104話

気づいたこと
2,273
2019/09/17 14:19
あなた

仕事が一番…そう2人は言ってた。
私は?家族は?何番目なんだろう。そんな事をずっと考えてた。でも、どうしても一番にならないんだろうなとも思った。
だから、私は決めたの。
私はいい子になろう。迷惑かけないようにしよう。って。




そう、それから………



あなた

それからだよ、私が気持ちを隠すようになったのは。




2人とも何も言わずに時間が過ぎる。




すると先生は、ふっと微笑むようにして笑った。




私が先生の方を見ると、目が合った。

先生
第三者の立場から言わせてもらいます。
あなたは、お父さんとお母さんのこと、大好きなんだろ?
あなた

…………えっ?


……お父さんとお母さんの事が大好き……??




これに関しては、お父さんとお母さんも驚いたような表情をした。

先生
だから、嫌われないように、迷惑かけないようにって、必死になって来たんだろう。
あなた

………っ

あぁ………





そういう…こと……………か



あなた

………私、お父さんと、お母さんのこと大好きなんだ。




そう言いながら、私は泣いていた。


あなた

そう、大好きだから……




どんどん涙が溢れてくる。




私の言葉を聞いたお母さんも、泣き出した。




次の言葉が涙のせいでなかなか出てこない。




すると、先生は私の手を優しく握ってくれた。




「大丈夫だ、俺がいる。」そう言われている気がした。




私は、ゆっくり話す。


あなた

2人とも忙しいし、全然私に構ってくれないし、悲しいし、寂しいし本当に嫌だった。でも、やっぱり何だかんだお父さんとお母さんのこと好きなんだ。



そうだよ。




だから、嫌われたくないから私はいい子になったの。

あなた

でもね……本当は、知ってた。
時間がなくてギリギリなのに、毎回一回家に帰って来てから、また出張に行くこと。
あと、私が小さい頃、寝てる時に様子を見に来てくれたこと。
それから……佳奈さんのお墓参りも行ってること……3年くらい前に、私が行く前に2人がいた事があって。その時ね、佳奈さんに感謝してるのと同時に、私のことも話してくれてた。私のことちゃんと見てくれてるんだなって思ったよ。

それから、もう一つ。
あなた

私、お父さんとお母さんのこと好きだった。 でも、2人は私のこと嫌いなんじゃないかってずっと思ってた。怖かったの。

先生
親が子供を嫌いになるわけないだろう。

先生がそういうと、2人は強く頷いた。
あなた

え………?

先生
子供の事が嫌いな親なんていないだろう。子供が生まれてきた瞬間、とてつもなく、幸せで、この子の笑顔を守り続けたいと願ったはずだ。
私はもう、涙が止まらなかった。


気づけばお父さんも泣いていた。
お父さん
そうだな、あなたを一番幸せにしてやろう。と、思った。
お母さん
無事に、生まれてきてくれて本当に嬉しかったわ。
お父さん
こんな気持ちを、忘れていたんだな。
申し訳ない…
お母さん
そうね、本当に……。
あなた、今まで寂しい、悲しい思いをさせて、ごめんね。もっと、寄り添ってあげればよかった。
でも、あなた。大好きよ。愛してる。
お父さん
私もだ。

先生も、目を潤ませながら話を聞いていた。


しばらく、落ち着くまで時間がかかった。


今までの、いろんな想いがたくさん込み上げてくる。


その間、先生は私の手を強く握りしめてくれた。


先生が居てくれて本当に良かった。


本当に、


ありがとう。

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