唯月side
家の前に着き、2人に手を振った。
ニコリと微笑み返事をしてくれる悠叶と何も言ってくれなかったけど、手は振り返してくれた想空。
そんな2人の後ろ姿を見送り、家の中に入る。
リビングのドアを開ければ台所に立っているお母さんの姿が目に入る。
ほっ、としたような表情をうかべ胸をなでおろすお母さん。
きっとお母さんは私以上に私のことを心配してくれているのだろう。
お母さんどの会話が終われば制服を着替えるために2階の部屋に向かう。
数週間前に引っ越してきたばかりだから生活感があまりない。
クローゼットの扉をあけ、部屋着を出す。
着替え終わりベッドに飛び込んだ。
学校に持っていったリュックの中からスマホを取り出し意味もなくいじっていれば
「ピコン」
とメッセージアプリの通知が鳴った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。