優羽side
目の前には2人の少女。
片方は床に膝をつき、その肩にはもう片方の靴がくい込んでいる。
“痛そう”
そうは思うが別に止めようとは思わない。
結花の“お人形”に手を出したこいつの自業自得だし、止めたりなんかしたら今の私の立場が危うくなってしまう。
そんなリスクを犯してまで止める価値はこいつにはない。
歩夢が床についていた音羽の手を踏みつける。
ぎゅっ、と目を瞑る音羽。
その目には涙が溜まっている。
歩夢、力加減しないから…
キッ、と噛み付くような視線で結花を睨みつける音羽。
想空は結花のお人形。
普通じゃないけど普通なのかもしれない。
結花に歯向かうなんて自殺行為に値するこの教室では結花が言ったこと全てが正しい。
“女王様が全て” なのだ。
考えてもみてよ。
1人の国民が女王様の大切にしているお人形を傷つけました。
その後その国民に対して女王様は何をすると思う?
答えは簡単。
『死刑』
この学校っていう国の中では『生命を奪う』なんて行為、できないから
その代わり……なのかはわからないけど…国民は女王様のおもちゃ…つまり、『犬』になった。
国民は女王様の犬=音羽は結花の犬
ってことで毎日のように『躾』と言っていじめ紛いのことをしている。
わかってるよ。
こんなのおかしいってことくらい。
でも、折角 手に入れた今の立場を手放す気なんてないし
結花を裏切るような行為なんてしたくない。
例えこれが間違っていることだとしても。
真っ直ぐな瞳でこちらを見てくる歩夢。
私はこの瞳が苦手。
全てを見透かされているような気がして嫌。
私が視線をそらして答えてもその瞳は私を映したまま。
その瞳の中から外れたくて床に膝をついている音羽に視線を合わせるようにしゃがんだ。
彼女の髪にそっと触れればビクリッ、と肩を揺らす。
その姿がなんだか可哀相に思えてきて手を離し再度立ち上がった。
優しく微笑むその笑顔の裏には何か影があるようで少し怖かった。
スマホでも取りに行こうと思い自分の席の方に向いたときだった
ドアのそばからこちらを見ていた彼女と目があったのは。
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どーも。ふゆるです。
昨日か一昨日からホームの『おすすめ作品を運営がピックアップ』という欄に
『まちがいさがし。』が載っていました!!
まさか自分の作品が載るとは思っていなかったのですごく嬉しかったですッ
有難うございますッ!!
これからも読んでくださる皆様が楽しんでいただけるよう、頑張っていきますので宜しくお願いします!!
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。