はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。
こんなに走ったのはいつぶりだろう。
坂田先輩の家ってこんなに遠かったっけ…
や、やばい。何も考えずに来てしまった。
絶対嫌な顔されるよね…
でも、今帰ったらきっと後悔する…
よし、行こう。
ピンポーン
心臓がバクバクしてる
あぁ、坂田先輩の声久しぶりに聞いたなぁ
やっぱ好きだなぁ
って、坂田先輩が、来る…。
ガチャッ
ひ、久しぶりの坂田先輩…
なんか、色々な意味で緊張する…
素っ気ないけど家に入れてくれるんだね
やっぱり優しいな。
まぁ多分風邪ひかれたら面倒臭いからなんだろうけどね
まさか、坂田先輩がそんなこと言ってきてくれるだなんて思ってなくて思わず聞き返してしまった。
そしたら坂田先輩は「めんどくせぇな」みたいな顔をしながらもう1回聞いてくれた
私の答えを聞いて坂田先輩はすぐ「ふぃっ」って言ってキッチンの方へ向かった
するとすぐにココアの甘い匂いが漂ってきた。
あれ、この匂い…
ビクッ
急に来たからびっくりしちゃった。
なんで、って言われたら言うしかないよね…?
うらたさん殴られないよね…?
そう呟く坂田先輩に向かって私は頷き話を始める
坂田先輩は「なんで知ってんの」みたいな顔で見てくる。
やっぱりあれは坂田先輩だったんだ…
えっ、なにそれ…
ただうらたさん家には話聞いてもらっただけなのに…
ガチャッ!
私はいてもたってもいられず鞄を持ち坂田先輩の家を出た。
なんで、あそこまで言うの…?
私はずっと好きに決まってんじゃん…
私は1人泣いて歩いてた
そしたら後ろから
誰かの声が聞こえた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。