そう真奈ちゃんに呼び止められたのは,
いつも通りの日の放課後。
やっと授業が終わり,
愛理と帰ろうとしたところだった。
愛理と真奈ちゃんの間に不穏な空気が流れる。
これは ヤバい ……
真奈ちゃんの後を無言で歩く。
気まずい …… 気まずすぎる ……
何か喋らないと ……
え …… 無視? まさかの無視?
どうしよ。 もっと気まずくなったんだけど ……
めっちゃしんど。
えっとこれは ………
真奈さん? 声が。声が。
低すぎるよ?
変わり様が凄すぎるよ?
ちょっ。何この人 ……
二面性が …… 凄い ヤバい。
ん?ん?ん?
…… 何様ですか?
…… 何なんですか?
そう真奈ちゃんは言い捨てると
呆然と立ち尽くす私を置いて,
睨みながら立ち去って行った。
だってあの真奈ちゃんが,だよ?
あんな変わるものなの?
こわい。
またあの時と一緒じゃん。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!