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第10話

この胸に
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2018/02/08 13:14
あなたが消えてしまったことを、放心状態になりながらも、皆に伝えるため何とかイエティまで辿り着いた。
伊織
おい!怜!……
あなたが消えた!
え?誰?
あなた?
あなたって……
誰?
伊織
何言ってんだよ!
あなただよ!
お前が好きだった……
夏穂
え?何?
あなたって
誰のこと?
伊織
おまえら何言ってるんだよ、
あなたが……
消え……
皆の表情が混乱していた。
まるで誰1人あなたが誰か知らない様で……
まるで……何も……

何も……
伊織
……
ごめん……
何でもない……
夏穂
伊織君1人で寂しかったの?
1人で寂しい歳かよ……
ははは……
誰1人あなたが誰か知らない……
まるで……何も……

何も……


皆の記憶からあなたの記憶が消えてしまった事を
悟った。

人、1人が世の中から消えてしまった大変な状況にもかかわらず、この状況を誰とも共有できないことが、こんなにも……
こんなにも……辛い事だったとは……

思いもしなかった。
ーー 俺の体験したことは夢だっのか?ーー


今では……
あなたは、自分の作り出した幻影だったのではなかったのか?と思うこともあり、
あなたの存在すら揺らぐことがある。
俺はいつの間にか紗李愛を好きになっていた。


あなたのことを忘れたくない一心で、夏穂が以前テレビで見た、行方不明の未解決事件を調べてみると、行方不明になった子供の名前は……

『流星』だった。


そして……

その同じ年に
『しぶんぎ座流星群』が発見された……

ーー これは……偶然なのか ?


俺は、これからも毎年やってくる
しぶんぎ座流星群を見ると

君のことを胸に抱きながら
君を忘れることなく
君を思い出し


きっと……
きっと……
忘れないだろう……

きっと……ずっと……
伊織
あなた……

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