幼なじみだが、家は近くない。
自転車で5~10分ほどの距離だ。
朝、母に頼まれた用事。
部活終わり、一度帰宅してから広太の家に向かった。
広太の家はアパート。かなり古そうだ。
周辺はそういう建物が多いからか、道も街灯が無くかなり暗い。
久しぶりすぎて緊張した。
203号室には可愛らしい表札が掛かっていた。
チャイムを鳴らす。
広太はギターを弾いていたらしく、玄関近くに置いてあるのが見えた。
広太はギターを部屋に置き、玄関の鍵を閉め
“途中まで送る”
と家の近くまでついてきてくれた。
何年ぶりかの会話。
学校では出さない雰囲気。
あ、これが昔から変わらない広太だ。
優しいよね。やっぱり。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!